ないがね……だから、あの人がグルーシェンカを軽蔑してるに決まっていても、この際、軽蔑なぞ何の役にも立ちはしないさ。軽蔑しているくせに、離れることができないんだ」
「それは僕にもわかる」と、アリョーシャがだしぬけに口をすべらせた。
「へえ? 君がそんなにいきなり、わかるって言ってのけたところをみると、君はこのことが本当にわかってるんだね」とラキーチンは意地悪くほくそえみながら言った。「君は今、何の気なしに、ふいと口をすべらせたんだが、それだけ君の告白はよけいに尊いんだよ。つまりこの問題はもう君にはお馴染《なじみ》なんだね。この肉欲ということを、もう考えてたんだね! おやおや、たいへんな童貞だよ! と言いたくなるね。ねえ、アリョーシュカ、君がおとなしい聖《けだ》かい人間だってことには、僕も異存はないが、おとなしいくせに君はたいへんなことを考えてるんだね、本当にたいへんなことを君は知ってるんだね! 童貞でありながら、もうそんな深刻なところへ進んでいるんだ。それは僕も前から気づいていたよ。君自体やはりカラマゾフだ、完全無欠なカラマゾフだ――つまり何か血統とでもいうのかなあ。親父のほうからは好色
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