けから、すっかりあの人の全貌をつかんでしまったのさ。ああいう正直いちずで、しかも情欲の盛んな人には、けっして踏み越えてならない一線があるのだ。全くあの人は、いつどんなことで親爺さんを刀でぐさりとやらないとも限らないよ。ところが、親爺さんは酔っ払いの放埒《ほうらつ》な道楽者で、何事につけてもけっして度というものがわからない……そこでお互いにおのれを制するということがないから、あっという間に溝《どぶ》の中へまっさかさまに……」
「違うよ、ミーシャ、違うよ。もしそれだけのことなら、僕も安心したよ。そこまではいきゃしないから」
「なんだって君は、そんなにぶるぶる震えてるんだい? いったい君にこういうことがわかるかい? よしやあの人が、ミーチェンカが正直な人だとしても(あの人はばかだけれど正直だよ)、しかし、あの人は好色だからね。これがあの人に対する完全な定義だ、あの人の内面的本質だ。これは、親爺さんからあの人が下劣な肉欲を受け継いだからだよ。僕はただ君にだけに驚いてるよ、アリョーシャ。君はどうしてそんなに純潔なんだろう? だって君もやっぱりカラマゾフ一族じゃないか! 君の家では肉欲が炎症ともい
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