何かしら不健康らしい黄色っぽい色つやをしている。少し飛び出した大きな暗色の眼は、見たところ、どこか執拗《しつよう》そうなまなざしであるが、その実何やらそわそわしている。興奮していらいらしながら話しているときでさえ、その眼の内部の気持に従わないで、何か別な、時とすると、その場の状況に全然そぐわない表情をあらわすことがあった。『あの男の肚の中はちょっとわからない』というのが、彼と話しをした人の批評である。またある人は、彼が物思わしげな、気むずかしそうな眼つきをしているなと思っていると、突然思いもかけず笑いだされて、めんくらうことがあった。つまり、そんな気むずかしそうな眼つきをしていると同時に、陽気なふざけた考えが彼の心中に潜んでいることの証拠である。もっとも、現に彼の顔つきが幾分病的に見えるのは、無理もない話である。彼がこのごろ恐ろしく不安な『遊蕩《ゆうとう》』生活に耽溺《たんでき》していることも、また曖昧《あいまい》な金のことで父親と喧嘩をして、非常にいらいらした気持になっていることも、等しく一同の者によくわかっていたからである。それについて町じゅうにいろいろな噂がもちあがっていた。もっ
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