、笞刑《ちけい》や流刑《るけい》や、悪くすると死刑の宣告さえするようになるのじゃないかと考えたんですよ」
「もし今でも教会的社会裁判だけしかなかったなら、今でも教会は流刑や死刑を宣告するようなことはしないでしょう。また犯罪も、それに対する見解も、疑いもなく一変すべきはずです。もちろんそれは、今すぐさっそくにというわけではありません、しだいしだいにそうなるのですが、しかしその時期はかなり早くやってくるでしょう……」イワン・フョードロヴィッチは落ち着き払って、まばたき一つしないで、こう言った。
「君はまじめなんですか?」と、ミウーソフはじっと彼を見すえながら言った。
「もし国家全体が教会になってしまった暁には、教会は犯罪者や抵抗者を破門するだけにとどめて、けっして首なんか切らないでしょう」とイワン・フョードロヴィッチは語り続けた。「じゃあ、一つあなたに伺いますが、破門された人間はいったいどこへ行ったらいいのでしょう? そのとき破門された人間は、今日の受刑者のように、単に人間社会から離れるばかりではなく、主キリストからも去ってしまわなければならないでしょう。つまり彼は自分の犯罪によって、単に
前へ 次へ
全844ページ中173ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
中山 省三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング