覚悟でございました。わたくしどもはこの歓びに溢れた感謝の心を、腹蔵なくお目にかけるためにまいったのでございます。あなたは宅のリーザをなおしてくださいました、すっかりなおしてくださいました。それもあなたは、ただ木曜日にこの子のお祈りをしてくださいまして、お手を頭へ載せてくだすっただけではございませんか。わたくしどもはそのお手を接吻して、わたくしどもの心持を、敬慕の念を汲みとっていただくために、急いでまいった次第でございます!」
「どうしてなおしたとおっしゃられるのかな? お嬢さんはやはり椅子に寝ておられるではござりませぬか?」
「ですけれど、夜ごと夜ごとの発熱は、ちょうどあの木曜日からすっかりなくなりまして、これでもう二昼夜少しも起こらないのでございます」と夫人は神経的にせきこみながら言った。「そればかりか、足までしっかりいたしました。昨晩はぐっすりとよく休みましたので、けさ起きましたときなどぴんぴんいたしておりました。この血色を見てくださいまし、この生き生きした眼を御覧くださいまし。いつも泣いてばかりおりましたものが、今ではにこにこと、いかにも上機嫌で、嬉しそうにしております。今日はど
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