ツてさ、ふらふらと、
ひよろひよろと首《くび》をふれば太棹《ふとざを》が……
〔Yo_i! …… Yo_i! …… Yo_itona! ……〕

ほの青《あを》い雪《ゆき》の夜《よ》の
蓄音機《ちくおんき》とは知《し》つたれど、きけばこの身《み》が泣《な》かるる。
酔《よ》つて酔《よ》つて酔《よ》つぱらつてさ、ひよろひよろと、
ふらふらと投《な》げてかかれば、その咽喉《のど》が……
〔Yo_i! …… Yo_i! …… Yo_itona! ……〕

ほの青《あを》い雪《ゆき》のふる
人《ひと》ひとり通《とほ》らぬこの雪《ゆき》に、まあ何《なん》とした、
酔《よ》つて酔《よ》つて酔《よ》つぱらつてさ、ふらふらと、
ひよろひよろと、しやくりあぐれば誰やらが、
〔Yo_i! …… Yo_i! …… Yo_itona! ……〕
[#地から3字上げ]四十四年一月

  春の鳥

鳴きそな鳴きそ春の鳥、
昇菊の紺と銀との肩ぎぬに。
鳴きそな鳴きそ春の鳥、
歌沢《うたざは》の夏のあはれとなりぬべき
大川の金《きん》と青とのたそがれに。
鳴きそな鳴きそ春の鳥。
[#地から3字上げ]四十三年四月

  
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