ヲる。
欄干《てすり》では何時《いつ》までも何時《いつ》までも
気《き》まぐれな狐拳《きつねけん》。

[#ここから横組み]“Chon−aiko! chon−aiko,
Chon−chon aiko−aiko,
Chon ga nanoso de
Cho−chon ga yoi ……”

“Chonkina! chonkina! ……”[#ここで横組み終わり]
[#地から3字上げ]四十三年七月

  鬼百合

夏の日の東京に
歌沢《うたざは》のこころいき……

しみじみと身にしみて
きく年増《としま》、
すらりとした立姿《たちすがた》の
中形の薄青さ、
それしやの粋《いき》なこころに。

日がそそぐ……銀色《ぎんいろ》のきりぎりす
浮気男《うはきをとこ》を殺した
昼寝《ひるね》の夢の凄さ、
たてひきの憎《にく》さ、
かなしさ、つらさ、くるしさ、
日がそそぐ……わかいお七の半鐘か、死ぬるきりぎりすか。
銀《ぎん》の光の細かな強いすすりなき。

大河《おほかは》をまへに、
唇《くち》に啣《くは》えた帯留の金《きん》――
手をうしろにまはして、
暑《あつ》さうなものごしの、
なにかしら寂《さ
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