ョ《へや》の障子《しやうじ》に、何時《いつ》までも何時《いつ》までも照《て》りつける辛気《しんき》くささ、
寝《ね》まきや、長襦袢《ながじゆばん》の、
如何《どう》したんだらうねえ、まあ、
両肌《りやうはだ》なんか脱《ぬ》いだりさ、
欄干《てすり》に腰《こし》かけたり、跨《また》いだり、
自堕落《じだらく》な、あれさ、落《おつ》こつたらどうするの、
気《き》まぐれも大概《たいがい》になさいなね、
あれ、あの手《て》も真赤《まつか》な狐拳《きつねけん》!」
[#ここから横組み]“Chon−aiko! chon−aiko! ……”[#ここで横組み終わり]
「華魁《おいらん》、ちよいと、御覧《ごらん》なさいな、
久《しさ》し振《ぶり》で裏門《うらもん》が開《あ》いたと思《おも》つたら、
大変《たいへん》ですわねえ、あれ、あんなに水《みづ》が、
随分《ずゐぶん》しどい音《おと》だこと、
堤《どて》をもう越《こ》したんですとさ。
竜泉寺《りゆうせんじ》、山谷《さんや》、今戸《いまど》のわたし、
そりやもう大変《たいへん》な騒《さわぎ》よ、
おやおや、まあ、素《す》つ裸《ぱだか》で、
揚屋町《
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