ネの、槍のさき。

槍は槍持、供ぞろへ、
さつと振れ、振れ、白鳥毛。

槍は※[#「金+肅」、第3水準1−93−39]びても名は※[#「金+肅」、第3水準1−93−39]びぬ。
殿につきそふ槍持の槍の穂さきの悲しさよ。
いつも馬上の寛濶に、
殿は伊達者のよい男、
さぞや世間《せけん》の取沙汰に
浮かれ騒ぐも女なら。
そこらあたりの道すぢの紺の暖簾《のれん》も気がかりな。
槍は九尺の銀なんぽ、
槍を持つ身のしみじみと、涙流すもつとめ故、
さりとは、さりとは、供奴《ともやつこ》、
雪はふるふる、日は暮れる。
やあれ、やれ、しよんがいなの、槍のさき。
[#地から3字上げ]四十五年三月

  CHONKINA.

[#ここから横組み]“Chonkina! chonkina!
Chon−chon kina−kina!
Chon ga nanoso de,
Cho−chon ga yoi! ……”[#ここで横組み終わり]

「赤《あか》い夕日《ゆふひ》、
活動写真《くわつどうしやしん》見《み》たいなキラキラが、あのやうに、あれ、御覧《ごらん》な。
お向《むか》ふの三層楼《さんがい》の高《たか》い部
前へ 次へ
全96ページ中57ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
北原 白秋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング