イン》の手にもてる
黄なる小花ぞゆかしけれ。
なにか知らねど、蕋《しべ》赤きかの草花のかばいろは
阿留加里《アルカリ》をもて色變《いろか》へし愁《うれひ》の華《はな》か、なぐさめか、
ゆめの光に咲きいでて消ゆるつかれか、なつかしや。

五月ついたち、大蒜《にんにく》の
黄なる花咲くころなれば
忠臣藏の着物《きもの》きて紺の燕も翔るなり、
銀の喇叭に口あててオペラ役者も踊るなり。
されど晝餐《ひるげ》のあかるさに
老孃《オウルドミス》の身の薄くナイフ執るこそさみしけれ。

西の女王《クイン》の手にもてる
黄なる小花ぞゆかしけれ。
何時も哀《かな》しくつつましく摘みて凝視《みつ》むるそのひとの
深き目つきに消ゆる日か、過ぎしその日か、憐憫《あはれみ》か、
老孃《オウルドミス》の身の薄くひとりあるこそさみしけれ。


 燒栗のにほひ


玉乘の兒よ、戲奴《ヂヤウカウ》よ、身振をかしき鈴振《りんふり》よ。
また、いはけなき曲馬の兒、
赤き上着《うはぎ》にとり澄ます銀笛吹きの童らよ。

げにげに汝《なれ》ら、しをらしく、あるはをかしく、おもしろく、
戲《たは》れ浮かれて鄙びたる下司《げす》のしら
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