ヒアシンス、
その紫に蜻蛉《とんぼ》ゐてなにか凝視《みつ》むれ、一心に。
そのとき、われは桑の果の赤きかげより、
祭日《まつりび》の太皷の囃子《はやし》厭はしく、わが外の世をば隙見《すきみ》しぬ。
かの銀箔《ぎんぱく》の歎《なげ》きこそ魔法つかひの吐息なれ、
皮膚の痛みにえも鳴かぬ蛙の、あはれ、宙がへり。
かかる日にこそわが父母を、かかる日にこそ、
眞實《まこと》ならずと來て告げむ OMIKA [#「OMIKA」に「*」の著者註]の婆に心おびゆる。
[#数字は1字下げ、説明文は3字下げ]
1.Omika の婆。Omika と呼ぶ狂氣の老婆なり。つねにわが酒倉に來てこの酒倉はわがものぞ、この酒もわがものぞ、Tonka John 汝もわがものぞ。汝の父母と懷かしむ彼やつらは全く赤の他人にてわれこそは汝が母ぞよ。われを見て脅かしぬ。
2.ガメノシユブタ。水草の一種、方言。
[#ここで字下げ終わり]
太陽
太陽は祭日の喇叭《らつぱ》のごとく、
放たれし手品つかひの鳩のごとく、
或は閃めく藥湯《やくたう》のフラフのごとく、
なつかしきアンチピリンの粉《こな》のごとし。
太陽は紅く
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