》の尻がろに
水へ滑《すべ》るは戲《おど》けたる
道化芝居の女かな。
軍鷄《しやも》のにくきは定九郎か、
與一兵衛には何よけむ。
カステラいろの雛《ひよこ》らは
かの由良さんのとりまきか、
ぴよぴよぴよとよく歌ふ。
禿《は》げた金茶《きんちや》の南瓜《ボウブラ》は
九太夫どのか、伴内か、
青い蜻蛉《とんぼ》の息絶えし
おかると名づけ水くれむ。
銀の力彌の肩衣《かたぎぬ》は
いちはつぐさか、――雨がへる
ぴよいと飛び出た宙《ちう》がへり、
青い捕手《とりて》の幕切《まくぎれ》は
ええなんとせう、夜の雨に。


 苅麥のにほひ


あかい日の照る苅麥に
そつと眠れば人のこゑ、
鳥の鳴くよに、欷歔《しやく》るよに、
銀の螽斯《ジイツタン》の彈《はじ》くよに。

ひとのすがたは見えねども、
なにが悲しき、そはそはと、
黄ろい羽蟲がやはらかに
解《と》けて縺《もつ》れて欷歔《しやく》るこゑ。

あかい日のてる苅麥に、
男かへせし美代はまた
鶩《あひる》追ひつつその卵
そつと盜《と》るなり前掛《まへかけ》に。


 青い鳥


せんだんの葉越しに、
青い鳥が鳴いた。
『たつた、ひとつ知つてるよ。』
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