《な》も知らむ。
このさんた・くるすは、かなた
檳榔樹《びろうじゆ》の実《み》の落つる国、
夕日《ゆふひ》さす白琺瑯《はくはふらう》の石の階《はし》
そのそこの心の心、――
えめらるど、あるは紅玉《こうぎよく》、
褐《くり》の埴《はに》八千層《やちさか》敷ける真底《まそこ》より、
汝《な》が愛を讃《たた》へむがため、
また、清き接吻《くちつけ》のため、
水晶の柄《え》をすげし白銀《しろかね》の鍬をもて、
七つほど先《さき》の世《よ》ゆ世を継《つ》ぎて
ひたぶるに、われとわが
採《と》りいでし型《かた》、
その型《かた》を
汝《な》に捧《ささ》ぐ、
女子《をみなご》よ。


  ただ秘めよ

曰《い》ひけるは、
あな、わが少女《をとめ》、
天艸《あまくさ》の蜜《みつ》の少女《をとめ》よ。
汝《な》が髪は烏《からす》のごとく、
汝《な》が唇《くち》は木《こ》の実《み》の紅《あけ》に没薬《もつやく》の汁《しゆ》滴《したた》らす。
わが鴿《はと》よ、わが友よ、いざともに擁《いだ》かまし。
薫《くゆり》濃《こ》き葡萄の酒は
玻璃《ぎやまん》の壺《つぼ》に盛《も》るべく、
もたらしし麝香《じやかう
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