浴sをんな》の吐息《といき》
あはれその愁《うれひ》如《な》し、しぶく噴水《ふきあげ》
そことなう節《ふし》ゆるうゆらゆるなべに、
いつしかとほのめきぬ月の光も。
その空に、その苑《その》に、ほのの青みに
静かなる欷歔《すすりなき》泣きもいでつつ、
いづくにか、さまだるる愛慕《あいぼ》のなげき。
やはらかきほの熱《ほて》る女の足音《あのと》
あはれそのほめき如《な》し、燃《も》えも生《あ》れゆく
ゆめにほふ心音《しんのん》のうつつなきかな。
大理石《なめいし》の身の白《しろ》み、面《おも》もほのかに、
ひらきゆくその眼《め》ざし、なかば閉ぢつつ、
ゆめのごと空|仰《あふ》ぎ、いまぞ見惚《みほ》るる。
色わかき夜《よる》の星、うるむ紅《くれなゐ》。
[#地付き]四十一年七月
窓
かかる窓ありとも知らず、昨日《きのふ》まで過《す》ぎし河岸《かはきし》。
今日《けふ》は見よ、
色赤き花に日の照り、かなしくも依依児《ええてる》匂ふ。
あはれまた病《や》める Piano《ピアノ》 も……
[#地付き]四十一年九月
昨日と今日と
わかうどのせはしさよ。
さは昨日《きのふ》世を
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