臘月《らふげつ》の十九日《じふくにち》、
丑満《うしみつ》の夜《よ》の館《やかた》。
龕《みづし》めく唐銅《からかね》の櫃《ひつ》の上《うへ》
燭《しよく》青《あを》うまじろがずひとつ照る。
時になほ、朦朧《もうろう》と黒衣《こくえ》して
天鵝絨《びろうど》のものにぶき床《ゆか》に立ち、
わなわなと壁|熟視《みつ》め、
ひとり、また戦慄《せんりつ》す。
掌《て》ひらけば汗《あせ》はあな生《なま》なまと
さながらに人間《にんげん》の血のにほひ。
[#地付き]三十九年十二月
失くしつる
失《な》くしつる。
さはあるべくもおもはれね。
またある日には、
探《さが》しなば、なほあるごともおもはるる。
色青き真珠《しんじゆ》のたまよ。
[#地付き]四十一年七月
[#改ページ]
装幀………………………………………………………………石井柏亭
「エツキスリプリス」及「幼児磔殺」………………………石井柏亭
挿画『澆季』……………………………………………………石井柏亭
挿画『真昼』……………………………………………………山本 鼎
私信『四十一年七月廿一日便』………………………………太田正雄
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