五月が過ぎ、六月が来て私らの皮膚に柔軟《やはら》かなネルのにほひがやや熱く感じられるころとなれば、西洋料理店《レストラント》の白いテエブルクロスの上にも紫の釣鐘草と苦い珈琲《(コーヒー)》の時季が来る。
 わたしはこのいつもの詩のやうになつた Essey を植物園の長い薄あかりのなかでいまやつと書き了へたところだ。



底本:「日本の名随筆 別巻30 短歌」作品社
   1993(平成5)年8月25日第1刷発行
底本の親本:「日本近代文学大系 第二八巻――北原白秋集」角川書店
   1970(昭和45)年4月発行
入力:浦山敦子
校正:noriko saito
2010年3月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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