へでた。
もそっとおわんがしっかりさえしてりゃ、
ここらでこの歌もきれやしまい。
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気ちがい家族
気ちがいの御亭主に、
気ちがいのおかみさん、
気ちがい小路《こうじ》に住んで、
三つ児をうんで、
どの児もどの児も気がちごた。
お父さんが気ちがい、
お母さんが気ちがい、
みんな子供が気ちがい。
気ちがいうまにのって、
いっしょくたに、みんなのって、
まっくら三宝《さんぼう》に、かけてった。
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ちっちゃなだんなさま
あたいのちっちゃなだんなさま、
拇指《おやゆび》よりかもまだちさい。
こまめのおつぼにちょいといれて、
どんがどんがはやしてせりあげよ。
ちっちゃなおうまも買《こ》うてあぎょ。
そして、とっととかけさして、
たづなとらせて、くらおいて、
さあさ、ねりだそ、町の外。
かわいいくつした結《いわ》くなら
それにはちっちゃなとめ金具《かなぐ》、
ちっちゃなお鼻をふきゃるには
かわいいちっちゃなハンカチフ。
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一つのたるに
一つのたるに、三人はいり、
どんどこ、どんどこ、すっどんどん。
あいつらだれだ。
肉屋にパン屋、
ろうそく屋の亭主。
つっころがしてしまえ。
しようのねえやつらだ。
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ジャックとジル
ねんねの小鳥が岡《おか》に二羽、
一羽がジャックで、ほかのがジルよ。
とんでったジャックが、
とんでったジルが、
またきたジャックが、
またきたジルが。
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トムトムぼうず
トム、トム、トムぼうず、
笛ふきのむすこ、
ぶたをぬすんでにげたはよいが、
ぶたはたべられ、トムぁぶったたかれ、
ないておんおん街をかけた。
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いぬはぼうおう
いぬはぼうおう、
ねこはみゅうみゅう、
おぶたはぐるんぐるん、
ねずみはすけえく。
ふくろはつうふう、
からすはかうかう、
めがもはくゎっくくゎっく、
うしもうもう。
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ちいさなおじょっちゃん
額《ひたい》のまんなかに、きらきらちぢらした
ちいさなまきげの、
ちいさなおじょっちゃん、
ごきげんいいときゃ、
それはそれはいい子で、
おわるいときにはこォわい子。ソレ、こォわい子。
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やぶ医者
やぶ医者のフォスタアさんが、
グロオスタアへいって、
にわか雨にあって、
水たまりに立ち往生して、
おへその上まで水びたり。
それから二度とはようゆかぬ。
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きれいずきのおかみさん
お月さんのおとりもちでお嫁にござった。
きれいずきの、世帯《しょたい》もちの、しまりやのおかみさんだ。
おひるにでもならなきゃなんとしてもおきない。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
やっとこさとおきればおもいきってせかせか、
きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
灰かきで麦っ粉《こ》をやっさもっさこねます。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
ながぐつにどろどろどしこんだバタをよ、
きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
ひっかき棒のかわりにお足でべっちゃべっちゃ。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
チイズは台所の物置のおたなに、
きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
ひとりでにころげるまでうっちゃっちゃってかまわない。
ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
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御婚礼
ぶうん、ぶうん、ぶうぶうぶ。
はえがくまんばちにお嫁いり、
いよいよ教会へいきやして、首尾よく御祝儀あいすんだ。
はえとくまんばちの御婚礼。
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タッフィ
タッフィはウェルス人、タッフィはどろぼう。
わたしの家《うち》にやってきて、牛肉|一塊《ひとくれ》ぬゥすんだ。
タッフィの家《うち》へいったらば、タッフィはいなかった。
タッフィがやってきて、髄骨《ずいこつ》一本ぬゥすんだ。
タッフィの家へいったらば、タッフィはいなかった。
タッフィがやってきて、こんどは麺棒《めんぼう》ぬゥすんだ。
タッフィの家へいったらば、タッフィはねていた。
そこで火棒《ひかき》とって、そいつの頭になげつけた。
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ばばァ牛
黒白まだらの御面相は、
チャアレエ・ワアレエの女郎牛《めろうし》だ。
その木戸あけねえか、おとおりじゃ。
チャアレエ・ワアレエのばばァ牛。
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とっぴょくりん
とっぴょくりんのとん吉が、
とっぴょくりんのとん吉が、
おまんじゅうをいただいて、
そとがわだァけのォこした。
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卵うりましょうと
卵うりましょうと、わしがゆく道で、
でおうた、でおうたよ、ねじれ足とでおうた。
足はねじれ足、爪《つめ》まがり爪《づめ》、
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