こいつおもしろいとかかとをちょいとすくう、
そこで、すとんと地べたに小鼻をぶっつけた。
[#改ページ]
 かささぎが一羽よ
かささぎが一羽よ、なしの木にとォまった。
かささぎが一羽よ、なしの木にとォまった。
かささぎが一羽よ、なしの木にとォまった。
 おおしんど、ああしんど、おおしんどよう。
うれしそに一度よ、ちちんがちんとはねた。
うれしそに二度よ、ちちんがちんとはねた。
うれしそに三度よ、ちちんがちんとはねた。
 おおしんど、おおしんど、おおしんどよう。
[#改ページ]
 これ、これ、こいきな
「これ、これ、こいきなおむすめご、
おまえはどちらへおいでです」
「お乳しぼりにまいります」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
わたしもいっしょに行《い》てあぎょか」
「ええ、ええ、そんならうれしいわ」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
おまえのお父さんはなになさる」
「わたしのお父さんはおひゃくしょうよ」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
おまえさんに財産《おたから》ありましょね」
「いえ、いえ、御器量《ごきりょう》が財産《おたから》よ」
「これ、これ、こいきなおむすめご、
そんならお嫁さんにゃちとこまる」
「いらぬおせわでござります」
[#改ページ]
 市場《いちば》へ、市場へ
市場《いちば》へ、市場へ、乾葡萄入《プラム》ケイキかいに、
かえろよ、かえろよ、市場にゃおくれた。
市場へ、市場へ、乾葡萄入《プラム》パンかいに、
かえろよ、かえろよ、市場ははねた。
[#改ページ]
 数学
掛け算はしちめんどう、
割り算は因業《いんごう》、
比例は人なかせ、
応用問題気がちがう。
[#改ページ]
 眼《め》
青い眼《め》はきれい、
灰色の眼は陰気、
黒い眼は腹黒、
鳶色《とびいろ》眼玉はおばァけ。
[#改ページ]
 五月のみつばち
五月のみつばちゃ、
乾草《ほしくさ》一駄《いちだ》よ。
六月のみつばちゃ、
銀のさじとおなじ価《ね》よ。
七月のみつばちゃ、
はえの一匹にも、つっかわぬ。
[#改ページ]
 朝のかすみ
朝のかすみと夕焼け空は、
日和《ひより》よいとの前しらせ。
くもる日ぐれと朝焼け空は、
お寝《よ》るひつじをみなぬらす。
[#改ページ]
 かっこ鳥
きれいな小鳥、かっこ鳥、
とびとびうたうかっこ鳥、
ないてしら 
前へ 
次へ 
全31ページ中21ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北原 白秋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング