に立ち往生して、
おへその上まで水びたり。
それから二度とはようゆかぬ。
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 きれいずきのおかみさん
お月さんのおとりもちでお嫁にござった。
 きれいずきの、世帯《しょたい》もちの、しまりやのおかみさんだ。
おひるにでもならなきゃなんとしてもおきない。
 ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
 
やっとこさとおきればおもいきってせかせか、
 きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
灰かきで麦っ粉《こ》をやっさもっさこねます。
 ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
ながぐつにどろどろどしこんだバタをよ、
 きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
ひっかき棒のかわりにお足でべっちゃべっちゃ。
 ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
チイズは台所の物置のおたなに、
 きれいずきの、世帯もちの、しまりやのおかみさんだ。
ひとりでにころげるまでうっちゃっちゃってかまわない。
 ほんとにしまるなら、それこそたのむよ。
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 御婚礼
ぶうん、ぶうん、ぶうぶうぶ。
はえがくまんばちにお嫁いり、
いよいよ教会へいきやして、首尾よく御祝儀あいすんだ。
はえとくまんばちの御婚礼。
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 タッフィ
タッフィはウェルス人、タッフィはどろぼう。
わたしの家《うち》にやってきて、牛肉|一塊《ひとくれ》ぬゥすんだ。
タッフィの家《うち》へいったらば、タッフィはいなかった。
タッフィがやってきて、髄骨《ずいこつ》一本ぬゥすんだ。
タッフィの家へいったらば、タッフィはいなかった。
タッフィがやってきて、こんどは麺棒《めんぼう》ぬゥすんだ。
タッフィの家へいったらば、タッフィはねていた。
そこで火棒《ひかき》とって、そいつの頭になげつけた。
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 ばばァ牛
黒白まだらの御面相は、
チャアレエ・ワアレエの女郎牛《めろうし》だ。
その木戸あけねえか、おとおりじゃ。
チャアレエ・ワアレエのばばァ牛。
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 とっぴょくりん
とっぴょくりんのとん吉が、
とっぴょくりんのとん吉が、
おまんじゅうをいただいて、
そとがわだァけのォこした。
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 卵うりましょうと
卵うりましょうと、わしがゆく道で、
でおうた、でおうたよ、ねじれ足とでおうた。
足はねじれ足、爪《つめ》まがり爪《づめ》、
 
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