まだ若《わか》いに。」と、みんな歌つてゐるから面白いのです。京へ上《のぼ》つたり、紅《べに》かねつけたり、お嫁入りしたり、赤ん坊を生んだりしてゐます。お馬のジヤンコジヤンコもおもしろいでせう。それにまた、「そりやまだ若《わか》い。若船《わかぶね》に乗《の》つて、唐《から》まで渡《わた》れ。」(紀伊)といふのもあります。それから少し変つてゐるのに、一寸《ちよつと》西洋《せいやう》の童謡見たやうなのがあります。それは珍らしいものです。

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お月様《つきさま》いくつ。
十三《じふさん》七《なな》つ。
まだ年《とし》は若《わか》いど。
お月様《つきさま》の後《あと》へ、
小《ち》いちやつけ和尚《をしやう》が、
滑橋《すべりばし》をかけて、
お月様《つきさま》拝《をが》むとて、
ずるずるすべつた。(下総)
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 これは、空のけしきが其のままに歌はれてゐます。小さい和尚さんは白い星か薄《うす》い霧のやうな星の雲かでせう。滑橋《すべりばし》もさうした雲のながれでせう。天の川のやうな。ずるずる滑るところがをかしいではありませんか。
 それから、その綺麗《き
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