思はなくに」が一首の眼目で、あなたをば深く思いつめて居ります、という恋愛歌である。そこで葛城王の場合には、あなたを粗略にはおもいませぬというに帰着するが、此歌はその女の即吟か、或は民謡として伝わっているのを吟誦したものか、いずれとも受取れるが、遊行女婦《うかれめ》は作歌することが一つの款待《かんたい》方法であったのだから、このくらいのものは作り得たと解釈していいだろうか。この一首の言伝《いいつた》えが面白いので選んで置いたが、地方に出張する中央官人と、地方官と、遊行女婦とを配した短篇のような趣があって面白い歌である。伝説の文の、「右手持[#レ]水、撃[#二]之王膝[#一]」につき、種々の疑問を起しているが、二つの間に休止があるので、水を持った右手で王の膝をたたくのではなかろう。「之」は助詞である。

           ○

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寺寺《てらでら》の女餓鬼《めがき》申《まを》さく大神《おほみわ》の男餓鬼《をがき》賜《たば》りて其《そ》の子《こ》生《う》まはむ 〔巻十六・三八四〇〕 池田朝臣
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 池田朝臣《いけだのあそみ》(古義では真枚《まひら
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