》だろうという)が、大神朝臣奥守《おおみわのあそみおきもり》に贈った歌である。一首の意は、寺々に居る女の餓鬼どもは大神《おおみわ》の男餓鬼《おとこがき》を頂戴してその子を生みたいと申しておりますよ、というので、大神奥守は痩男《やせおとこ》だったのでこの諧謔《かいぎゃく》が出たのであろう。「寺々の女餓鬼」というのは、その頃寺院には、画だの木像だのがあって、三悪道の一なる餓鬼道を示したものがあったと見える。前に、「相思はぬ人を思ふは大寺の餓鬼のしりへに額《ぬか》づく如し」(巻四・六〇八)とあったのを参考すれば、木像のようにおもわれる。何れにせよ、この諧謔が自然流露の感じでまことに旨《うま》い。古今集以後ならば俳諧歌《はいかいか》、滑稽歌《こっけいか》として特別扱をするところを、大体の分類だけにして、特別扱をしないのは、万葉集に自由性があっていい点である。また、当時は仏教興隆時代だから、餓鬼などということを人々は新事物として興味を感じていたものであっただろう。ウマハムはウマムという意でウマフという四段活用の動詞である。
○
[#ここから5字下げ]
仏《ほとけ》造《つ
前へ
次へ
全531ページ中474ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
斎藤 茂吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング