き」を肯定してもよく、その方が甘く切実で却っておもしろいと思って今回は二たびそう解釈することとした。この歌は以上選んだ娘子の歌の中では一番よい。
「ほとほとしにき」は、原文「保等保登之爾吉」であって、「ホトホトシニキハ、驚テ胸ノホトバシルナリ」(代匠記精撰本)というのが第一説で、古義もそれに従った。鈴屋答問録《すずのやとうもんろく》に、「ほと」は俗言の「あわ(は)てふためく」の「ふた」に同じいとあるのも参考となるだろう。それから、「ほとんど死《しに》たりとなり。うれしさのあまりになるべし」(拾穂抄《しゅうすいしょう》)は第二説で、「殆将死なり。あまりてよろこばしきさまをいふ」(考)、「しにきは死にき也」(略解)。古事記伝、新考、新訓等もこの第二説である。集中、「君を離れて恋に之奴倍之《シヌベシ》」(巻十五・三五七八)があるから、「之爾」を「死に」と訓んで差支のないことが分かる。
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巻第十六
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春《はる》さらば※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]頭《かざし》にせむと我《わ》が思《も》ひ
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