もって反省した趣にしたのであった。そして、「背向《そがひ》に寝《ね》しく今しくやしも」(巻七・一四一二)などをも参照にしたのであったが、今回は契沖以下の先輩の注釈書に従うことにしたけれども、必ずしも防人出立とせずに、民謡的情事の一場面としても味うことが出来るのである。

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麻苧《あさを》らを麻笥《をけ》に多《ふすさ》に績《う》まずとも明日《あす》来《き》せざめやいざせ小床《をどこ》に 〔巻十四・三四八四〕 東歌
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 麻苧《あさお》の糸を娘が績《う》んでいるのに対《むか》って男がいいかける趣の歌で、「ら」は添えたものである。「ふすさに」は沢山《たくさん》の意。巻八(一五四九)にある、「なでしこの花ふさ手折り吾は去なむ」の「ふさ」、巻十七(三九四三)にある、「我背子がふさ手折りける」の「ふさ」も同じ語であろうか。一首は、麻苧をそんなに沢山|笥《おけ》に紡《つむ》がずとも、また明日が無いのではないから、さあ小床《おどこ》に行こう、というのである。「いざせ」の「いざ」は呼びかける語、「せ」は「為《せ》」で、この場合は行こ
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