ふるがに」は、生うべきものだからというぐらいの意である。「おもしろし」も今の語感よりも、もっと感に入る語感で、万葉で※[#「りっしんべん+可」、下−120−6]怜の字を当てているのを以ても分かる。こころよい、なつかしい、身に沁《し》みる等と翻《ほん》していい場合が多い。※[#「りっしんべん+可」、下−120−7]怜を「あはれ」とも訓むから、その情調が入っているのである。この歌の字面はそれだけだが、この歌は民謡で、野の草を哀憐《あいれん》する気持の歌だから、引いて人事の心持、古妻《ふるづま》というような心持にも聯想《れんそう》が向くのであるが、現在の私等はあっさりと鑑賞して却って有益な歌なのかも知れない。

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稲《いね》舂《つ》けば皹《かが》る我《あ》が手《て》を今宵《こよひ》もか殿《との》の稚子《わくご》が取《と》りて嘆《なげ》かむ 〔巻十四・三四五九〕 東歌
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「皹《かが》る」は、皹《ひび》のきれることで、アカガリ、アカギレともいう。「殿の稚子《わくご》」は、地方の国守とか郡守とか豪族とかいう家柄の若君をいうの
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