く声《こゑ》きけば時《とき》過《す》ぎにけり 〔巻十四・三三五二〕 東歌
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「すがの荒野」を地名とすると、和名鈔《わみょうしょう》の筑摩郡|苧賀《ソガ》郷で、梓《あずさ》川と楢井《ならい》川との間の曠野《こうや》だとする説(地名辞書)が有力だが、他にも説があって一定しない。元は普通名詞即ち菅の生えて居る荒野という意味から来た土地の名だろうから、此処は信濃の一地名とぼんやり考えても味うことが出来る。一首の意は、信濃の国の須賀の荒野に、霍公鳥《ほととぎす》の鳴く声を聞くと、もう時季が過ぎて夏になった、というのである。霍公鳥の鳴く頃になったという詠歎《えいたん》で、この季節の移動を詠歎する歌は集中に多いが、この歌は民謡風なものだから、何か相聞的な感じが背景にひそまっているだろう。「秋萩の下葉の黄葉《もみぢ》花につぐ時過ぎ行かば後《のち》恋ひむかも」(巻十・二二〇九)、次に評釈する、「このくれの時移りなば」(巻十四・三三五五)、「わたつみの沖つ繩海苔《なはのり》来る時と妹が待つらむ月は経につつ」(巻十五・三六六三)、「恋ひ死なば恋ひも死ねとやほととぎす物|思《も》ふ時に
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