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巻第一
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たまきはる宇智《うち》の大野《おほぬ》に馬《うま》並《な》めて朝《あさ》踏《ふ》ますらむその草《くさ》深野《ふかぬ》 〔巻一・四〕 中皇命
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舒明《じょめい》天皇が、宇智野《うちぬ》、即《すなわ》ち大和|宇智《うち》郡の野(今の五条町の南、阪合部《さかあいべ》村)に遊猟したもうた時、中皇命《なかちすめらみこと》が間人連老《はしびとのむらじおゆ》をして献《たてまつ》らしめた長歌の反歌である。中皇命は未詳だが、賀茂真淵《かものまぶち》は荷田春満《かだのあずままろ》の説に拠《よ》り、「皇」の下に「女」を補って、「中皇女命《なかつひめみこのみこと》」と訓《よ》み、舒明天皇の皇女で、のち、孝徳天皇の后に立ちたもうた間人《はしびと》皇后だとし、喜田博士は皇后で後天皇になられた御方だとしたから、此処では皇極《こうぎょく》(斉明《さいめい》)天皇に当らせられる。即ち前説に拠れば舒明の皇女、後説に拠れば舒明の皇后ということになる。間人連老は孝徳天皇紀|白雉《はくち》五年二月遣唐使の判官に「間
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