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神南備《かむなび》の浅小竹原《あさしぬはら》のうるはしみ妾《わ》が思《も》ふ君《きみ》が声《こゑ》の著《しる》けく 〔巻十一・二七七四〕 作者不詳
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 一首の、「神南備の浅小竹原《あさしぬはら》のうるはしみ」は下の「うるはしみ」に続いて序詞となった。併《しか》し現今も飛鳥《あすか》の雷岳《いかずちのおか》あたり、飛鳥川沿岸に小竹林があるが、そのころも小竹林は繁《しげ》って立派であったに相違ない。当時の人(この歌の作者は女性の趣)はそれを観察していて、「うるはし」に続けたのは、詩的力量として観察しても驚くべく鋭敏で、特に「浅小竹原」と云ったのもこまかい観察である。もっとも、この語は古事記にも、「阿佐士怒波良《アサジヌハラ》」とある。併しそれよりも感心するのは、一首の中味である、「妾《わ》が思ふ君が声の著《しる》けく」という句である。自分の恋しくおもう男、即ち夫《おっと》の声が人なかにあってもはっきり聞こえてなつかしいというので、何でもないようだが短歌のような短い抒情詩の中に、こう自由にこの気持を詠み込むということはむつかしい事な
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