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 寄[#レ]物述[#レ]思の一首。難波の人が葦火《あしび》を焚くので家が煤《すす》けるが、おれの妻もそのようにもう古び煤けた。けれどもおれの妻はいつまで経《た》っても見飽きない、おれの妻はやはりいつまでも一番いい、というので、若い者の甘い恋愛ともちがって落着いたうちに無限の愛情をたたえている。軽い諧謔《かいぎゃく》を含めているのも親しみがあって却《かえ》って好いし、万葉の歌は万事写生であるから、縦《たと》い平凡のようでも人間の実際が出ているのである。「青山の嶺《みね》の白雲朝にけに常に見れどもめづらし吾君」(巻三・三七七)、「住吉の里行きしかば春花のいやめづらしき君にあへるかも」(巻十・一八八六)等の例がある。結句ツネメヅラシキと訓んで居り、いずれでも好い。

           ○

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馬《うま》の音《と》のとどともすれば松蔭《まつかげ》に出《い》でてぞ見《み》つる蓋《けだ》し君かと 〔巻十一・二六五三〕 作者不詳
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 結句、原文「若君香跡」で、旧訓モシハ・キミカト、考モシモ・キミカトであったのを古義でケダシ・
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