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恋《こ》ふること慰《なぐさ》めかねて出《い》で行《ゆ》けば山《やま》も川《かは》をも知《し》らず来《き》にけり 〔巻十一・二四一四〕 柿本人麿歌集
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同上、人麿歌集出。一首の意は、この恋の切ない思を慰めかね、遣《や》りかねて出でて来たから、山をも川をも夢中で来てしまった、というのである。「いで行けば」といったり、「来にけり」と云ったりして、調和しないようだが、そういう巧緻《こうち》でないようなところがあっても、真率《しんそつ》な心があらわれ、自分の心をかえりみるような態度で、「来にけり」と詠歎したのに棄てがたい響がある。第二句、「こころ遣《や》りかね」とも訓んでいる。これは、「おもふどち許己呂也良武等《ココロヤラムト》」(巻十七・三九九一)等の例に拠《よ》ったものであるが、「恋しげみ奈具左米可禰※[#「低のつくり」、第3水準1−86−47]《ナグサメカネテ》」(巻十五・三六二〇)の例もあるから、いずれとも訓み得るのである。今旧訓に従って置いた。それから、「ゆく」も「くる」も、主客の差で、根本の相違でないこ
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