越えて山下露《やましたつゆ》に沾《ぬ》れにけるかも」(巻七・一二四一)などと較べると、やはり此歌の方が旨い。

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朱《あか》らひく膚《はだ》に触《ふ》れずて寝《ね》たれども心《こころ》を異《け》しく我《わ》が念《も》はなくに 〔巻十一・二三九九〕 柿本人麿歌集
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 同上、人麿歌集出。一首の意は、今夜は美しいお前の膚《はだ》にも触れずに独寝《ひとりね》したが、それでも決して心がわりをするようなことはないのだ、今夜は故障があってついお前の処に行かれず独りで寝てしまったが、私の心に別にかわりがない、というのであろう。「心を異しく」は、心がわりするというほどの意で、集中、「逢はねども異《け》しき心をわが思はなくに」(巻十四・三四八二)、「然れども異《け》しき心をあがおもはなくに」(巻十五・三五八八)等の例がある。女の美しい膚のことをいい、覚官的に身体的に云っているのが、ただの平凡な民謡にしてしまわなかった原因であろう。アカラヒク・ハダに就き、代匠記初稿本に、「それは紅顔のにほひをいひ、今は肌《はだへ》の雪のごとくなるに、
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