光のほのかな状態によって、「ほのか」にかかる枕詞とした。一首は、これまでまだ沁々《しみじみ》と逢ったこともない女に偶然逢って、その後逢わない女に対する恋の切ないことを歌ったものである。「玉かぎるほのかにだにも見えぬおもへば」(巻二・二一〇)、「玉かぎるほのかに見えて別れなば」(巻八・一五二六)等の例がある。この歌は男の心持になって歌っている。

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行《ゆ》けど行《ゆ》けど逢《あ》はぬ妹《いも》ゆゑひさかたの天《あめ》の露霜《つゆじも》に濡《ぬ》れにけるかも 〔巻十一・二三九五〕 柿本人麿歌集
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 同上、人麿歌集出。行きつつ幾ら行っても逢う当《あて》のない恋しい女のために、こうして天の露霜に濡れた、というのである。苦しい調子でぽつりぽつりと切れるのでなく、連続調子でのびのびと云いあらわしている。それは謂《いわ》ゆる人麿調ともいい得るが、それよりも寧《むし》ろ、この歌は民謡的の歌だからと解釈することも出来るのである。併し、この種類の歌にあっては目立つものだから、その一代表のつもりで選んで置いた。「ぬばたまの黒髪山を朝
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