かつらぎ》郡下田村で、大和から河内《かわち》へ越える坂になっている。二上山が南にあるから、この坂を越えてゆくと、二上山辺の黄葉が時雨に散っている光景が見えたのである。「もみぢ葉ながる」の「ながる」は水の流ると同じ語原で、流動することだから、水のほかに、「沫雪ながる」というように雪の降るのにも使っている。併し、水の流るるように、幾らか横ざまに斜に降る意があるのであろう。「天の時雨の流らふ見れば」(巻一・八二)、「ながらふるつま吹く風の」(同・五九)を見ても、雨・風にナガルの語を使っていることが分かる。「二上に」と云って、「二上山に」と云わぬのもこの歌の一特色をなしている。
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吾《わ》が門《かど》の浅茅《あさぢ》色《いろ》づく吉隠《よなばり》の浪柴《なみしば》の野《ぬ》のもみぢ散《ち》るらし 〔巻十・二一九〇〕 作者不詳
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「吉隠《よなばり》の浪柴《なみしば》の野《ぬ》」は、大和|磯城《しき》郡、初瀬《はせ》町の東方一里にあり、持統天皇もこの浪芝野《なみしばぬ》のあたりに行幸あらせられたことがある。自分の家の門前の
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