を授けられ、天平宝字《てんぴょうほうじ》元年に従五位上を授けられたことが記されている。甘南備河《かむなびがわ》は、甘南備山が飛鳥《あすか》(雷丘《いかずちのおか》)か竜田《たつた》かによって、飛鳥川か竜田川かになるのだが、それが分からないからいずれの河としても味うことが出来る。一首は、蝦《かわず》(河鹿《かじか》)の鳴いている甘南備河に影をうつして、今頃山吹の花が咲いて居るだろう、というので、こだわりの無い美しい歌である。
 此歌が秀歌として持てはやされ、六帖や新古今に載ったのは、流麗な調子と、「かげ見えて」、「今か咲くらむ」という、幾らか後世ぶりのところがあるためで、これが本歌《ほんか》になって模倣せられたのは、その後世ぶりが気に入られたものである。「逢坂の関の清水にかげ見えて今や引くらむ望月の駒」(拾遺・貫之《つらゆき》)、「春ふかみ神なび川に影見えてうつろひにけり山吹の花」(金葉集)等の如くに、その歌調なり内容なりが伝播《でんぱ》している。この歌は、全体としては稍《やや》軽いので、実際をいえば、このくらいの歌は万葉に幾つもあるのだが、この種類の一代表として選んだのである。参考歌に
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