子鳥《よぶこどり》いたくな鳴《な》きそ吾《わ》が恋《こひ》益《まさ》る 〔巻八・一四一九〕 鏡王女
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 鏡王女《かがみのおおきみ》の歌である。鏡王女は鏡王《かがみのおおきみ》の女《むすめ》で額田王《ぬかだのおおきみ》の御姉に当り、はじめ天智天皇の御寵《おんちょう》を受け、後|藤原鎌足《ふじわらのかまたり》の正妻となった。此処《ここ》の神奈備《かむなび》は竜田《たつた》の神奈備で飛鳥《あすか》の神奈備ではない。生駒《いこま》郡竜田町の南方に車瀬という処に森がある。それが伊波瀬の森である。喚子鳥《よぶこどり》は大体|閑古鳥《かんこどり》の事として置く。一首の意は、神奈備の伊波瀬の森に鳴く喚子鳥よ、そんなに鳴くな、私の恋しい心が増すばかりだから、というのである。
「いたく」は、強く、熱心に、度々、切実になどとも翻《ほん》し得、口語なら、「そんなに鳴くな」ともいえる。喚子鳥の声は、人に愬《うった》えて呼ぶようであるから、その声を聞いて自分の身の上に移して感じたものである。この聯想《れんそう》から来る感じは万葉の歌に可なり多いが、当時の人々は何時《いつ》の間《ま》にか斯《
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