たるみ》の両説がある。若し地名だとしても、垂水即ち小滝を写象の中に入れなければ此歌は価値が下るとおもうのである。次に此歌に寓意《ぐうい》を求める解釈もある。「此御歌イカナル御懽有テヨマセ給フトハシラネド、垂水ノ上トシモヨマセ給ヘルハ、若《もし》帝ヨリ此処ヲ封戸《ふご》ニ加へ賜ハリテ悦バセ給ヘル歟《か》。蕨ノ根ニ隠リテカヾマリヲレルガ、春ノ暖気ヲ得テ萌出ルハ、実ニ悦コバシキ譬《たとへ》ナリ。御子白壁王不意ニ高|御座《ミクラ》ニ昇《ノボ》ラセ給ヒテ、此皇子モ田原天皇ト追尊セラレ給ヒ、皇統今ニ相ツヾケルモ此歌ニモトヰセルニヤ」(代匠記)といい、考・略解《りゃくげ》・古義これに従ったが、稍《やや》穿鑿《せんさく》に過ぎた感じで、寧《むし》ろ、「水流れ草もえて万物の時をうるを悦び給へる御歌なるべし」(拾穂抄《しゅうすいしょう》)の簡明な解釈の方が当っているとおもう。なお、「石走《いはばし》る垂水の水の愛《は》しきやし君に恋ふらく吾が情《こころ》から」(巻十二・三〇二五)という参考歌がある。

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神奈備《かむなび》の伊波瀬《いはせ》の杜《もり》の喚
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