ると、「有間山猪名の笹原かぜふけばいでそよ人を忘れやはする」などの如く歌名所になった。

           ○

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家《いへ》にして吾《われ》は恋《こ》ひむな印南野《いなみぬ》の浅茅《あさぢ》が上《うへ》に照《て》りし月夜《つくよ》を 〔巻七・一一七九〕 作者不詳
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 ※[#「覊」の「馬」に代えて「奇」、第4水準2−88−38]旅《きりょ》の歌。印南野で見た、浅茅《あさぢ》の上の月の光を、家に帰ってからもおもい出すことだろうというので、印南野を過ぎて来てからの口吻《こうふん》のようだが、それは「照りし月夜を」にあるので、併し縦《たと》い過ぎて来たとしても、印象が未だ新しいのだから、「照れる月夜を」ぐらいの気持で味ってもいい歌である。
 いずれにしても、広い印南野の月光に感動しているところで、「恋ひむな」といっても、天然を恋うるので、そこにこの歌の特色がある。この歌の側に、「印南野は行き過ぎぬらし天《あま》づたふ日笠《ひがさ》の浦に波たてり見ゆ」(巻七・一一七八)というのがあるが、これも佳い歌である。

           ○

[#こ
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