三九)等の歌もある。網代人は網代の番をする人。千早《ちはや》人は氏《うじ》に続き、同音の宇治《うじ》に続く枕詞である。皆、旅中感銘したことを作っているのである。
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しなが鳥《どり》猪名野《いなぬ》を来《く》れば有間山《ありまやま》夕霧《ゆふぎり》立《た》ちぬ宿《やど》は無《な》くして 〔巻七・一一四〇〕 作者不詳
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摂津にて作れる歌である。「しなが鳥」は猪名《いな》につづく枕詞で、しなが鳥即ち鳰鳥《におどり》が、居並《いなら》ぶの居《い》と猪《い》とが同音であるから、猪名の枕詞になった。猪名野は摂津、今の豊能川辺両郡に亙《わた》った、猪名川流域の平野である。有間山は今の有馬温泉のあるあたり一帯の山である。結句の「宿はなくして」は、前出の、「家もあらなくに」などと同一筆法だが、これは旅の実際を歌ったもののようである。それだから作者不明でも、誰の心にも通ずる真実性があると看《み》ねばならぬ。それから現在吾々が注意するのは、「有間山夕霧たちぬ」と切ったところにある。有間山は万葉にはただ二カ処だけに出ているが、後にな
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