〔巻七・一〇七五〕 作者不詳
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 作者不詳、海岸にいて、夜更《よふけ》にのぼった月を見ると、光が清明でなく幾らか霞《かす》んでいるように見える。それをば、海上遙かなために、月も能《よ》く光らないと云うように、作者が感じたから、斯《こ》ういう表現を取ったものであろう。巻三(二九〇)に、「倉橋の山を高みか夜《よ》ごもりに出で来る月の光ともしき」とあるのも全体が似て居るが、この巻七の歌の方が、何となく稚《おさな》く素朴に出来ている。それだけ常識的でなく、却って深みを添えているのだが、常識的には理窟に合わぬところがあると見えて、解釈上の異見もあったのである。

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痛足河《あなしがは》河浪《かはなみ》立《た》ちぬ巻目《まきむく》の由槻《ゆつき》が岳《たけ》に雲居《くもゐ》立《た》てるらし 〔巻七・一〇八七〕 柿本人麿歌集
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 柿本人麿歌集にある歌で、詠雲《くもをよめる》の中に収められている。痛足河《あなしがわ》は、大和磯城郡|纏向《まきむく》村にあり、纏向山(巻向山)と三輪山との間に源《みなもと》
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