のに、黒人の歌があるから黒人の影響乃至模倣ということを否定するわけには行かない。
巻十五に、「鶴が鳴き葦辺をさして飛び渡るあなたづたづし独《ひとり》さ寝《ぬ》れば」(三六二六)、「沖辺より潮満ち来らし韓《から》の浦に求食《あさ》りする鶴鳴きて騒ぎぬ」(三六四二)等の歌があり、共に赤人の此歌の模倣であるから、その頃から此歌は尊敬せられていたのであろう。
なお、「難波潟潮干に立ちて見わたせば淡路の島に鶴《たづ》わたる見ゆ」(巻七・一一六〇)、「円方《まとかた》の湊の渚鳥《すどり》浪立てや妻呼び立てて辺《へ》に近づくも」(同・一一六二)、「夕なぎにあさりする鶴《たづ》潮満てば沖浪《おきなみ》高み己妻《おのづま》喚《よ》ばふ」(同・一一六五)というのもあり、赤人の此歌と共に置いて味ってよい歌である。特に、「妻呼びたてて辺に近づくも」、「沖浪高み己妻|喚《よ》ばふ」の句は、なかなか佳いものだから看過《かんか》しない方がよいとおもう。
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み芳野《よしぬ》の象山《きさやま》の際《ま》の木末《こぬれ》には幾許《ここだ》も騒《さわ》ぐ鳥《とり》のこ
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