]歌七首長一首短六首」の短歌である。長歌の方は、人間には老・病の苦しみがあり、長い病に苦しんで、一層死のうとおもうことがあるけれども、児等のことを思えば、そうも行かずに歎息しているというのである。
 この短歌は、そういう風に老・病のために苦しんで、慰めん手段もなく、雲隠れに貌《すがた》も見えず鳴いてゆく鳥の如く、ただ独りで忍び泣きしてばかりいる、というので、長歌の終に、「彼《か》に此《かく》に思ひわづらひ、哭《ね》のみし泣かゆ」と止めたのを、この短歌で繰返している。
 このくらいの技巧の歌は、万葉には幾つもあるように思う程、取り立てて特色のあるものでないが、何か悲しい響があるようで棄て難かったのである。

           ○

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術《すべ》もなく苦《くる》しくあれば出《い》で走《はし》り去《い》ななと思《も》へど児等《こら》に障《さや》りぬ 〔巻五・八九九〕 山上憶良
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 同じく短歌。もう手段も尽き、苦しくて為方がないので、走り出して自殺でもしてしまおうと思うが、児等のために妨げられてそれも出来ない、というので、此は長歌の方で、「年長
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