う吾々は貧乏で世間が辛《つら》いの恥《はず》かしいのと云ったところで、所詮《しょせん》吾々は人間の赤裸々で、鳥ではないのだからして、何処ぞへ飛び去るわけにも行くまい、というのである。「やさし」は、恥かしいということで、「玉島のこの川上に家はあれど君を恥《やさ》しみ顕《あらは》さずありき」(巻五・八五四)にその例がある。この反歌も、長歌の方で、細かくいろいろと云ったから、概括的に締めくくったのだが、やはり貧乏人の言葉にして、その語気が出ているのでただの概念歌から脱却している。論語に、邦有[#レ]道、貧且賤焉耻也とあり、魏文帝の詩に、願[#レ]飛安[#(ゾ)]得[#(ン)][#レ]翼、欲[#レ]済《ワタラント》河無[#レ]梁《ハシ》とあるのも参考となり、憶良の長歌の句などには支那の出典を見出し得るのである。

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慰《なぐさ》むる心《こころ》はなしに雲隠《くもがく》り鳴《な》き往《ゆ》く鳥《とり》の哭《ね》のみし泣《な》かゆ 〔巻五・八九八〕 山上憶良
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 山上憶良の、「老身重病経[#レ]年辛苦、及思[#二]児等[#一
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