つものである。糧米をカリテと訓むは、霊異記《りょういき》下巻に糧(可里弖)とあるによっても明かで、乾飯直《カレヒテ》の義(攷證)だと云われている。一に云、「かれひはなしに」とあるのは、「餉《かれひ》は無《な》しに」で意味は同じい。カレヒは乾飯《カレイヒ》である。憶良の作ったこのあたりの歌の中で、私は此一首を好んでいる。

           ○

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世間《よのなか》を憂《う》しと恥《やさ》しと思《おも》へども飛《と》び立《た》ちかねつ鳥《とり》にしあらねば 〔巻五・八九三〕 山上憶良
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 山上憶良の「貧窮問答の歌一首并に短歌」(土屋氏云、憶良上京後、即ち天平三年秋冬以後の作であろう。)の短歌である。長歌の方は、二人貧者の問答の体で、一人が、「風|雑《まじ》り雨降る夜の、……如何にしつつか、汝《な》が世は渡る」といえば、一人が、「天地は広しといへど、あが為《ため》は狭《さ》くやなりぬる、……斯くばかり術《すべ》無きものか、世間《よのなか》の道」と答えるところで、万葉集中特殊なもので、また憶良の作中のよいものである。
 この反歌一首の意は、こ
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