ら》にいた女郎に贈ったものである。「今しらす久邇《くに》の京《みやこ》に妹《いも》に逢はず久しくなりぬ行きてはや見な」(巻四・七六八)というのもある。この歌は、もっと上代の歌のように、蒼古《そうこ》というわけには行かぬが、歌調が伸々《のびのび》として極めて順直なものである。家持の歌の優れた一面を代表する一つであろうか。
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巻第五

           ○

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世《よ》の中《なか》は空《むな》しきものと知《し》る時《とき》しいよよますます悲《かな》しかりけり 〔巻五・七九三〕 大伴旅人
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 大伴旅人《おおとものたびと》は、太宰府に於て、妻|大伴郎女《おおとものいらつめ》を亡くした(神亀五年)。その時京師から弔問が来たのに報《こた》えた歌である。なおこの歌には、「禍故|重畳《ちようでふ》し、凶問|累《しきり》に集る。永く崩心の悲みを懐《いだ》き、独り断腸の泣《なみだ》を流す。但し両君の大助に依りて、傾命|纔《わづか》に継ぐ耳《のみ》。筆言を尽さず、古今の歎く所なり」という詞書が附いている。傾命は老齢のこと。両君は審《つまびら》
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