ている。そして人麿一流の波動的声調でそれを統一している。そしてただ威勢のよい声調などというのでなく、妻に対する濃厚な愛情の出ているのを注意すべきである。
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小竹《ささ》の葉《は》はみ山《やま》もさやに乱《みだ》れども吾《われ》は妹《いも》おもふ別《わか》れ来《き》ぬれば 〔巻二・一三三〕 柿本人麿
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前の歌の続きである。人麿が馬に乗って今の邑智《おおち》郡の山中あたりを通った時の歌だと想像している。私は人麿上来の道筋をば、出雲路、山陰道を通過せしめずに、今の邑智郡から赤名越《あかなごえ》をし、備後《びんご》にいでて、瀬戸内海の船に乗ったものと想像している。
大意。今通っている山中の笹の葉に風が吹いて、ざわめき乱《みだ》れていても、わが心はそれに紛《まぎ》れることなくただ一向《ひたすら》に、別れて来た妻のことをおもっている。
今現在山中の笹の葉がざわめき乱れているのを、直ぐ取りあげて、それにも拘《かか》わらずただ一筋に妻をおもうと言いくだし、それが通俗に堕せないのは、一首の古調のためであり、人麿的声調のため
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