れしけれ黄に透りたる茎漬《くきづけ》のいろ (改造)
信濃路に帰り来りてうれしけれ黄に透りたる漬菜《つけな》のいろは (アララギ)
神経の痛みに負けて泣かねども夜毎《よごと》寝られねば心弱るなり (改造)
神経の痛みに負けて泣かねども幾夜《いくよ》寝《い》ねねば心弱るなり (アララギ)
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廿一日夕七時ごろ、古実君との問答がある。
古実『中村さんは明日か明後日《あさつて》帰ると云つてゐました。どうも己《おれ》が行つて赤彦を興奮させて済まなかつたといつてゐました』
赤彦『中村は己《おれ》が相手をしなんで不服らしかつたかな』
古実『そんなことはありません』
赤彦『己は一言《ひとこと》いふにもつかれるのだ』
古実『……』
赤彦『もう一度会ふさ』
古実『それでは明日でもお会《あひ》することにしませう』
かういふ会話などがあつた。それから八時頃かういふことを云つたさうである。『画伯、斎藤、岡、土屋、岩波――五人だなあ。……それへおれの病を君から委《くは》しく書いてやつて呉れ。まだ容態《ようだい》をくはしく書いてやらうとしてゐて書いてやらないから。……身のお
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