双葉山
斎藤茂吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)技《わざ》の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔”An die Werke der Ku:nstler anknu:pfen“〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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 強い双葉山が、四日目に安芸ノ海に負け、五日目に両国に負け、六日目に鹿島洋に負けたので、贔屓客が贔屓するあまり、実にいろいろの事をし、医者の診察をすすめたり、心理学の大家の説を訊いたり、いろいろの事をしてゐる。
 当の双葉山関はどうかといふに、自分でもそんなに粗雑な相撲を取つてゐるとはおもはぬし、体の調子もそんなに悪いとはおもはぬのに、『どうして負けるのか自分でも解りません。負け癖がついたんでせう』と云つてゐる。
 歌舞伎座の菊五郎丈が大に双葉山に同情して語つたなかに、『あの人のことだから、きつと大事に相撲をとつたにちがひないが、相手は
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