孫
斎藤茂吉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)算《かぞ》へる
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)心|牽《ひ》かれるやうな
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)偶※[#二の字点、1−2−22]
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私のところに只今孫が二人居る。一人は昭和二十一年四月生れ、次ぎは昭和二十三年二月生れである。それゆゑ大きい方は今年数へ年五つになるわけだが、満で算《かぞ》へると年が減つて三つになり、小さい方は一つといふことになる。(この満で算へる新しい約束は、万国同等で、まことに結構である)。
この満で算へる計算の方法は、まだ馴《な》れないので、ここしばらくは不便のやうにおもふだらう。一般の人の心になじむまでには、五年や十年はかかるのではあるまいかとさへおもはれる。
明治十四年の初秋に、明治天皇が東北に巡幸あらせられた。その時、私の次兄も奉迎したが、そのとき明治九年生れの兄は六歳で、小さい袴《はかま》など穿《は》かせられ、三島県令の計画によつて成つ
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