。道は最上川の流と稍離れてついて居り、その間は汎濫帯で少し増水すると其処に浸水するやうになつて居る。其処には萱だの川柳などが生えてゐる。
その細い道の一方(最上川の流と反対側)は畑になつてゐて、豆類の収穫はもう了つて居る。桐や其の他の木からはしきりに落葉してゐる。なほ歩いて行つた。最上川増水の時に出来たらしい、ほら穴のやうな処があつたり、流の跡のやうな処があつたりして、とうとう川に突当つた。川は幅稍ひろく、水は浅く底の砂が透いて見える。底は砂であるから水が激するといふことがない。両岸が思つたより高く、小さいながら水面まで一つの断崖をなして居る。断崖には雑草が密生してゐて紅葉して居る。これをもつと大きい山水に拡大すると一つの大きい谿谷とおもふことも出来る。細い道は其処に極まる。
これは、前言した支流の川口ではあるまいか、かう自分は思つて、川柳の藪をかき分けて行くと果してさうであつた。この支流の川口であつた。この支流の水が大きい最上川にそそいでゐるところであつた。自分はその川口のところに降りて行つた。
水は小さいデルタらしいものを作らうとして作りきれず、その両側の水は先づ形容すれば潺
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