出しである「夢は呼び交す」を採って改め、従って「黙子覚書」は副題として残すことになった。そして野田さんは何か後記を書いたらばという。
さてここに、あとがきようのものを書き添えておこうと思って、ペンはとりあげてみたものの、実のところ書くべき事がらが見当らない。それでは言いたいだけは本文に書いてあるかといえば、必ずしもそうでない。どこもかしこも穴だらけで書き足らぬがちである。それではその書き足らなかった理由でもちょっと歌っておけばよいではないか。そうもおもわれる。だがそんなはっきりしたわけなどと、やかましく肘《ひじ》を張ったものが、最初からあったかどうか、それさえ疑わしい。いかにもおかしなことだ。『藝林間歩』の野田さんから手をひかれ肩を押されてやっと十回分の文章を綴ったからには、野田さんの情誼にむくいるところが少しでも欠けていてはすむまい。
それは勿論のことである。さればこそ不馴れな仕事を、中途で止めもせずに、一応はその責を果しはした。ただ無計画に筆をつけはじめ、勢いに駆られてめくら滅法に書き了《おお》せたというに過ぎない。終始漫然として断片的な資材を集めたに過ぎない。釘も打たず鎹《
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